兵庫県公立学校教員採用候補者選考試験（令和７年度実施）追加募集に対する不満

 皆さん、おはようございます。元中学教員・現尼崎市議の佐野匠です。

　兵庫県教員採用試験が今年も行われました。9月12日に第2次選考試験結果が発表され、合格された方は精いっぱいご自身のお力を発揮してほしいと思います。この合格発表・10月2日に発表された追加募集について気になる点を元兵庫県の中学校で教員を経験した者としてまとめたいと考えています。
　ありがたいことにThreadsでこの件について投稿したところ私にとってたくさんのいいねをつけていただきました。多くの方が気にしてくださっているのかなと感じます。

1日経過したときのいいね数53

第１章：はじめに - 教員採用試験の現状と課題

教員不足の深刻化と採用試験の重要性

　学校での教員不足の話題を耳にするようになってからもう何年たつのでしょうか。下記サイトにまとめられていますが、

「公立の小・中学校の約２割が、2023年度はじめに本来配置されるはずの先生が配置されませんでした。学校数では約4,500校です。2023年度初めの時点で、教員不足の状況が1年前より「悪化した」と答えた地域が4割を超えました。」

　と問題提起されています。

教員不足の現状は？その原因と解決策を元教諭が解説先生のなり手が少ない、先生の離職率が高まっているなど、教員不足に関する報道が増えています。実際の教員不足の状況と理由、改善benesse.jp

　兵庫県におきまして下記サイト2022年1月31日の記事によると、特に中学校で教員不足数が57人と全国2位の不足数と文部科学省より発表されました。

【グラフで見る】教員不足と採用倍率の実態　文科省初の調査文部科学省は３１日、教員不足の実態に関する初めての全国調査の結果を公表した。 そのデータを基に、都道府県ごとの公立小中高・www.sankei.com

　全国の中でも兵庫県は、教員不足について深刻に考えないといけない県といえます。かつて採用倍率が10倍を超えており、なりたくてもなれない。人材であふれている時代ではないことがあきらかです。昔の考え方から変換しなければならないことは間違いないです。
　尼崎市でも、未配置の学校があり勤務している先生方に必要以上に負担がかかることで、生徒・保護者の方に配置されている学校と比較して充分な教育活動が実施されていない事態が起こりえます。
　私のことで恐縮ですが、尼崎市議会議員選挙挑戦のため、2024年12月31日付で中学校教員を退職しました。年度途中での退職は多くの方にご迷惑をおかけしました。改めて申し訳ございません。また、後を引き継ぐ教員が配属されるために尽力していただいたことに感謝しかありません。

これからの兵庫県につきましては、教員を確保するための手立てを打ち出すことが必要不可欠です。中学校において40人学級から35人学級へと変わるため生徒あたりの教員は多くなる変化にも対応できなくてはなりません。
　対策として、大学3年生からの1次選考試験として変更している。今年度からは本県で講師経験者には一般教養試験の免除(条件あり)を打ち出し。早期受験・講師経験者が他県、他業種へ流出しない取り組みを開始しました。
　多忙な学校教員をされている講師の方が、採用試験にチャレンジしやすくなっていることは評価できます。
　
　そんな兵庫県の教員不足・採用試験の現状におきまして、今年度の合格発表、そして教員の追加募集を見たときは衝撃を受けました。

※講師とは、正規教員の産休、育休、病気による休職などで欠員が生じた際に、その代替として任用される期限付きの教員のことを指しています。臨時講師という立場であれば、学級担任、部活動、学校の校務分掌など正規雇用の教員と同様の業務を担っています。

２章：2次選考の合格発表・そして追加募集

2次選考の合格発表

　まず、見ていただきたいデータは応募状況と、第2次選考試験結果についてというサイトです。

・応募状況について

https://www2.hyogo-c.ed.jp/hpe/uploads/sites/5/2025/06/R8kyouinsaiyoushikenoubojyoukyou.pdf

第２次選考試験結果について｜教員を目指す方へ｜教職員企画課・教職員人事課ページ｜兵庫教育委員会のホームページです。事業内容、入試、学校教育、教職員関係、生涯学習など、兵庫県内の教育に関する情報をwww2.hyogo-c.ed.jp

　私は、中学校理科でしたので、特に中学校理科の倍率をみます。年々倍率が下がり、倍率1.3倍まで低くなったと感じます。10年前は4倍で底と先輩教員から言われていました。底はもっと深かったですね。中学校の社会・保健体育は10倍を超えており、まだまだ人気です。中学校技術は0.7倍と1倍を切っており、全員合格にさせたとしてもまだ不足しているという状況です。

・令和８年度兵庫県公立学校教員採用候補者選考試験の追加募集について

https://www2.hyogo-c.ed.jp/hpe/uploads/sites/5/2025/10/R7zisshi_tsuikaboshu.pdf

そして、上記の追加募集の掲載を知ったことが投稿のきっかけです。

・中学校理科7名　追加募集
・中学校美術5名　追加募集
・中学校技術9名　追加募集　　等々

　と募集されています。
　技術は理解できるんです。だってそもそも受験者が足りていないんだから。しかし、理科と美術は受験者が足りていたはずです。

　だったら採用しましょうよ。
　もちろん、個人面接や模擬授業でよっぽどの失態をしている人は雇用してはいけません。現場を混乱を招くだけですから。だれでも教員免許ある人を雇うことは求めません。

　しかし、今回の不合格者の中で長年、講師として勤務されており、学級担任を経験した方がいることを知っています。つまり、兵庫県は、講師として働くことは歓迎するが、正規雇用はしないと判断したわけです。
　これが、講師と正規雇用で大きく明確に業務内容が異なるのであれば納得します。しかし、学級担任をする。学校の生徒指導を代表している講師もいます。つまり、学校現場ですでに問題なく働いている人間を、講師という正規雇用よりも安く雇い、正規雇用という身分の保障を与えない判断をしました。

　ひどい仕打ちではありませんか。年齢を重ねた方であれば、家庭を持たれている方もいるでしょうから、否が応でも講師として働くだろう。他府県へ流出しないだろうと足元を見ているのではないでしょうか。
　もっと採用試験が現場ですでに働いているという実績を評価するように変わらなくてはならないと提言します。校長先生が講師を評価して申告する手法を取り入れましょうよ。

・三重県教育委員会

https://www.pref.mie.lg.jp/common/content/001190512.pdf

　三重県教育委員会では、すでに所属長(学校長)が受験者に対して勤務状況や適性を評価したものを教員採用試験の選考に取り入れています。

　一発勝負の採用試験に充分に実力を発揮することが望ましいですが、そんなうまくいくことばかりではありません。面接官との相性も当然あるでしょう。普段のがんばりをもっと評価できる兵庫県になってほしいです。

　果たして、追加募集を掲載していますが、ちゃんと見つかるのでしょうか。兵庫県で合格していても、他府県の採用を優先する方もいるでしょうから実質はもっと確保しないといけないと考えます。兵庫県教育委員会の動向にこれからも注目していきます。

第３章：最後に

　ここまで読んでいただきありがとうございました。教員になりたい人、採用試験を受ける方の確保はとても重要なためがんばってほしいです。

　また、倍率が低くなれば教員の質が下がるという話題があります。私は、この倍率が低くなれば質が下がるという話題は好きではないです。もちろん大勢の人材の中からこの人!と選べるなら選びたい気持ちはあります。しかし、これだけデジタルが発展し、仕事の種類が多い、ブラック労働というニュースが出回る中教員を志望する方は、素晴らしいことである。世の中のあらゆる情報でも目指しきった方は少なくとも「教育に熱意をもっている」といえるのではないでしょうか。高倍率で選ばれた教員が不祥事を一切起こしたことがないわけではありませんよね。講師を正規雇用にせず、欲しい採用人数を下回る採用が悠長にできる学校現場の状況ではありません。むしろ、教員として育てる体制づくりができていないことが問題の根本の原因といえます。新採用は4月からいきなり現場で子ども達とむきあうことになります。大企業であればまずは、新採用だけ集めて研修してから現場へでていきます。このような体制をつくらず新採用を働かせている体制では、めまぐるしい現場でつぶされます。誰にとっても幸せではありません。

　学校の先生という仕事は、子ども達・保護者・地域の皆さんと関わりとても楽しい幸せな仕事だと考えます。そんな学校の先生を一生続けていけるよう兵庫県には、追加募集のようなやり方ではなく、もっと講師を大切にした仕組みをとっていただきたいと思います。